「壁と満月」

あいまいな理由で会いたいと言われた時に
ちゃんと断れるか

 

自分の道を外さないために
私にできることはなんだろう

 

いつかなにかすごくいいことが起こるような気がしていたのは
ずっと前

 

今はもう
そんなことは起こらないんだと思う
起こらなくても悲しくならない強さもある

 

どうしてだろうと思うことがある
ここにいても

 

 

越えられない壁の高さは
越えようとした時にだけわかる

 

その時に越えられなくても
その高さを知ることが
やがていつかどこかでだれかが越える方法に結びつくだろう

 

そのことを願って
そのことを信じて
越えられない壁の前で
私はやすらかに目を閉じる

 

すると
今日のひとつの日が沈み
今日のひとつの月が出た