「無辺世界」(単行本)

「無辺世界」(単行本)
1986.6.25 河出書房新社
詩と物語による安らかで不思議な世界。

「超えられないなら くぐっておいで」

オビの言葉

私が愛するだれかが、私を愛するだれかが、私を見失わないような、みようと思えばいつでもすぐにみつけられるような場所に、私は常に立っていようと思う。
どんな花が咲いてどんな風が吹いて私をどこかへ誘おうとしても、その方向があの人々にとって私を見失う方向であるとしたら、私にとってあの人々を見失う方向であるとしたら、私は決して、ただの一歩も、ここから動きださないだろう。
私にとって最も大切な事は、あの、同じ悲しみでありよろこびを、みとめあえる人々の存在を確信することである。